住んで分かった!
カンクン生活ガイド【研修記第6回・最終回】
治安・物価・屋台・交通事情まで、現地からリアルレポート!
【最終回】カンクン研修記:現地生活リアルレポート
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こんにちは!エスティーワールド新卒1年目の伊尻秀徳です。
私は2025年の4月に入社してすぐ、研修の一環としてメキシコ・カンクンにやってきました。
目的は、カンクンのホテルや観光地を実際に見て、感じて、帰国後にお客様へカンクンの“リアルな”情報をお届けするためです。そして今、滞在から4か月が経ち、帰国まであと1週間!ということで、今回の研修記は、観光情報サイトでは見えにくい「現地生活のリアル」をお届けします。
カンクンってどんな場所?と気になっている方が、少しでもカンクン滞在をイメージできるようになれば嬉しいです!
メキシコ新卒研修記一覧
第1回:カンクン概要
第2回:カンクンおすすめホテル7選
第3回:カンクン観光地7選
第4回:サンミゲル&グアナファト旅行記
第5回:グアナファト&メキシコシティ旅行記
【研修記第6回・最終回】住んで分かった! カンクン生活ガイドもくじ
ホテルゾーンとダウンタウン
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カンクンの街を知る上で欠かせないキーワードが「ホテルゾーン」と「ダウンタウン(セントロ)」です。
観光客として訪れると、ホテルゾーンに宿泊される方が多いでしょう。海沿いに約20kmも続く細長い地形の上に、高級ホテルやビーチクラブ、洒落たレストランがずらっと並んでいます。純白のビーチとターコイズブルーのカリブ海は目を疑ってしまうほどの美しさで、濃淡がくっきり。昼間からカクテルを片手にプールサイドでくつろぐ人たちを見ると、ここが現実世界だということを忘れそうになります。
一方、ホテルゾーンを離れ内陸側へ進むと、景色はがらりと変化。ローカルの暮らしが息づく「ダウンタウン」です。ホテルゾーンとは打って変わって、屋台や民家、スーパーマーケットやショッピングモールなどが増えます。観光だけならホテルゾーンだけでも十分楽しめますが、カンクンの”本当の顔”を知りたいなら、ぜひダウンタウンにも足を運んでみてください。
カンクンでの言語事情
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このようにカンクンは大きく「ホテルゾーン」と「ダウンタウン」という2つのエリアに分けられますが、違いは街並みだけではありません。
ホテルゾーンは観光客向けに整備されていて、レストランやホテル、土産物店ではほぼどこでも英語が通じます。一方、ダウンタウンは地元の生活感が色濃く、言語は完全にスペイン語が主役です。英語が通じる人に出会えたら、それはかなりラッキー。私自身、カンクンに来る前に知っていたスペイン語は「Hola(こんにちは)」と「Gracias(ありがとう)」だけでした。そんな状態での生活は、まさにジェスチャーゲームの連続。
でもそこで感じたのは、メキシコ人の驚くほどの優しさです。言葉が通じないからといって突き放すことはなく、翻訳アプリを取り出して、私が理解できるまで根気強く話してくれました。
治安
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人と話す時、翻訳アプリを使うことがありますよね。ときには相手にスマホを渡して「これに話してみて」とお願いする場面も出てきます。もしこれが治安の悪い街なら、「iPhoneを渡したら走って逃げられるかも…」と、一瞬ためらうでしょう。
でも、カンクンではそんな心配はほとんど必要ありません。少なくとも私の経験では、スマホを渡してもそのまま会話が続くだけ。むしろ「ちゃんと翻訳できた?」と気にしてくれるくらいです。
ホームレスらしい人をほとんど見かけず、スリ被害も聞いたことがない街。特にホテルゾーンは観光のために治安維持が徹底されていて、路上飲みや路上喫煙が禁止されています。さらにホテルはセキュリティが厳しいので、非常に安心感があります。
夜になるとナイトクラブやバーから陽気な音楽が流れ、笑顔の人々が通りを行き交います。昼間の観光地の賑わいとはまた違う、夜のカンクン独特の活気。それが逆に「夜でも歩きやすい」と感じさせてくれます。もちろん油断は禁物ですが、この街の夜は、ただ危険を避けるだけではもったいない魅力にあふれています。
交通事情
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ホテルゾーンとダウンタウンを行き来するのに、私が毎日のように使っていたのが公共バス。カンクンのバスは赤とオレンジの2種類があり、赤は旧型、オレンジは新型です。見た目からしても年季の入り方が違いますし、最大の違いはエアコンの有無。赤いバスには冷房がなく、汗が止まらなくなるため、私は急ぎの時しか利用しませんでした。普段は迷わずオレンジ一択です。
路線はいくつかありますが、どれに乗ってもホテルゾーン内は移動できるので、観光で来る方はほぼ路線番号を気にする必要はありません。ただし、ホテルゾーンからADOバスターミナル(長距離バスの発着所)に行きたい場合は、「R1」と表示されたバスを選びましょう。バスターミナル近くまで連れて行ってくれます。
料金は、どこから乗ってもどこで降りても一律12ペソ(または1米ドル)。ペソで払えばおつりは返ってきますが、100ペソ以上の大きな紙幣は嫌な顔をされるか、もしくは大量の硬貨で返されることも…。そのため、50ペソ以下の紙幣で払うのが良いでしょう。
2人分をまとめて払うときは「ドス」(スペイン語で「2」)と一言いえばOK。毎回、レシートのような紙切れを渡されますが、これは乗車証明のようなもの。降車後捨てて大丈夫です。
バスに関して注意したいのは、時刻表がないこと。Googleマップに公共交通機関が表示されないのもそのせいです。バス停の看板がない場所もあり、地元の人が立っているあたりが暗黙のバス停だったりします。とはいえ、24時間運行しているので夜間も利用できるのは便利です。
バス以外ではタクシーやUberも選択肢になります。ただしUberは空港で利用不可。ホテルゾーンやダウンタウン内なら普通に使えます。タクシーを自分で流しで拾うと料金トラブルになりやすいので、ホテルのフロントに呼んでもらうか、Uberを使うのが無難です。
通貨事情
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メキシコの通貨は「メキシコペソ(MXN)」です。しかし、カンクンは観光都市。ホテルゾーンを中心に米ドル(USD)も使える場所も多くあります。
とはいえ、便利そうに見えてドル払いは少しクセがあるのも事実。お店ごとに独自のドル→ペソ換算レートが設定されているため、場合によっては一般レートよりも損をすることがあります。さらに、おつりは基本ペソで返ってくるので、「ドルで払ったのに財布の中がペソだらけ」なんてことも。
クレジットカードは徐々に普及しており、特にホテルゾーンのレストランや観光客向けのショップでは広く使える印象です。しかし、ダウンタウンやローカルなお店になると話は別。カードが使えないケースが多いですし、カードが使えても利用時に手数料を上乗せされることもあります。
さらに忘れてはいけないのがチップ文化。レストランや空港からの送迎、ホテルでのサービスなど、チップで現金が必要になる場面は日常的にあります。
結論として、観光客が一番使いやすいのはやはりメキシコペソ。ドルは緊急用、カードはホテルゾーンや大きなお店専用、といった使い分けが安心です。
メキシコのチップ文化
前の章でも触れましたが、メキシコにはしっかりとしたチップ文化があります。
日常生活の中でチップが必要になる代表例はレストランとスーパーです。
レストランでは料金の15%が相場。支払い時に伝票に「Propina(チップ)」と書かれている場合は、それに沿って支払えばOKです。
スーパーの場合は少し特殊で、レジ係の隣に商品を袋詰めしてくれるシニアの方が立っていることがあります。実はこの方々、給与をもらわずボランティアとして働いており、生活の支えはお客さんからのチップ。私は袋詰めをしてもらった際には、感謝の気持ちを込めて10〜20ペソを渡すようにしています。
観光での滞在では、空港送迎・ホテル・ツアーがチップを渡す場面になりやすいです。
・空港送迎ドライバー:5ドルまたは100ペソ
・ホテルのベルボーイ:1組につき3ドルまたは50ペソ
・枕銭(ハウスキーピング):1組につき3ドルまたは50ペソ
・オールインクルーシブのホテルでは基本チップ不要ですが、特に良いサービスや美味しい食事を提供してくれた場合にはスタッフに渡すとスマートです。
・オプショナルツアー:ドライバーとガイドにそれぞれ1組10〜20ドル
上記は相場です。チップは「ありがとう」の気持ちを形にするものですので、あくまでもそのつもりでいれば大丈夫です。
紙幣は大きすぎない額を用意(100ペソ以下が便利)し、渡すタイミングはサービス直後が自然でしょう。
物価
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カンクンに来る前は、「メキシコなら日本より物価は安いはず」と思っていました。でも、実際に暮らしてみると、日本とほとんど変わらないか、むしろ高いと感じる場面が意外と多いんです。
特にレストラン。メキシコ料理は量が多く、一皿の迫力がすごいのですが、その分値段も上がります。観光客向けのレストランでは日本で食事するより高くなることも珍しくありません。
ただ、屋台は別です。ローカル感たっぷりの屋台タコスは1つ25ペソ(約200円)ほどで食べられます。さらに具や味付けが店ごとに違うので、食べ歩きにも最適です。
スーパーでは、フルーツや野菜などの生鮮食品は安く手に入ります。一方、お菓子やチョコの類は日本より高いです。お酒は日本と同じくらいの価格で、お土産として購入される方も多いテキーラは日本よりも安価です。
メキシコの食文化
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メキシコの主食といえば、やっぱりトルティーヤ。
薄くて円形の生地で、南部のカンクンではトウモロコシ粉を使ったコーン生地が主流です。一方で北部、例えばメキシコシティあたりでは小麦粉の生地を使うことが多いそう。タコスやブリトー、ケサディーヤなど、あらゆる料理の土台になっていて、まさに「食卓の中心」です。
とはいえ、メキシコ人が毎日トルティーヤだけを食べているわけではありません。普通にパンも食べますし、お米も出てきます。日によって、家庭によって、その比率はさまざま。私もメキシコに来たばかりの頃は「主食=トルティーヤ一択」というイメージだったので、その自由さにはちょっと驚きました。
もっと驚いたのは、野菜の除菌が必要なこと。水道水が飲めないのは理由ではなく、農薬の成分が強くて、水洗いだけでは不十分だとされているのです。スーパーでは「除菌液」が普通に売られていて、トマトやレタスをそれに浸けてから調理します。初めてそれを知ったときは、「野菜まで消毒!?」と軽くカルチャーショックを受けました。
そして、メキシコの食卓に欠かせないのがコーラ。
メキシコは国民一人あたりのコーラ消費量が世界一とも言われるほどで、本当にみんな、老若男女問わず日常的に飲んでいます。しかもメキシコのコーラは甘味料にコーンシロップではなくサトウキビ糖を使っているため、「まろやかで美味しい」と評判です。正直、私自身はその違いを感じられませんが...少なくとも気候やメキシコ料理との相性は抜群で、コーラを美味しく感じられるのは確かです。これがやみつきになって、肥満大国が出来上がってしまう理由も理解できてしまいます。
屋台グルメ
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メキシコの屋台は、観光客だけでなく地元の人々にとっても欠かせない食文化の一部。王道のタコスはもちろん、地元ならではの味に出会えるのが屋台の醍醐味です。
私が特に好きなのは「エスキーテ」。これは、茹でたトウモロコシの粒をカップに入れて、マヨネーズやチーズ、ライム、唐辛子パウダーなどをたっぷりかけたスナック感覚の一品。甘さと酸味、ピリッとした辛さが絶妙に混ざり合って、もうやみつきになります。日本ではなかなか味わえない、メキシコならではの味覚です。
もう一つ、カンクンの屋台グルメで忘れてはいけないのが「マルケシータス」。これはユカタン半島発祥のストリートスイーツで、薄く焼いたクレープのような生地をパリッと筒状に巻き、中にエダムチーズやチョコレート、キャラメルなどを挟んだもの。甘さとチーズの塩気が絶妙にマッチしていて、地元の人たちにも大人気です。正直ポロポロこぼれるので食べづらさはあるのですが、私は屋台で見かけるたびに買っています。
屋台の魅力はなんといってもその手軽さと価格の安さ。どの屋台も活気があり、店主や地元の人々と気軽に交流できるのも楽しみの一つです。どこが美味しい屋台か分からない時は、混雑している人気の屋台を選ぶと良いでしょう。
カンクンの魅力
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いろいろとカンクンの生活や文化についてお話してきましたが、やっぱり一番の魅力は、言わずもがなカリブ海を望む美しいビーチです。青と白が混ざり合うターコイズブルーの海は写真で見る以上に心に響く輝きを放っていて、ただそこにいるだけで非日常の贅沢な時間が流れます。
しかし、カンクンはそれだけではありません。チチェン・イツァのような歴史あるマヤ遺跡や、セノーテやシアンカーンに代表される豊かな自然体験も豊富で、飽きの来ない滞在を楽しめます。
もちろん、どんな場所にも良いところばかりではありません。たとえばコンビニや街のトイレは有料だったり便座がなかったり、お土産も、工芸品など質の良いものは多いですが、手軽なバラマキ用のスナックやお菓子は意外と少なかったりします。
それでも私は、ハネムーンや大切な人との旅行でまた必ずカンクンに戻ってきたいです。太平洋を越えるフライトは非常に時間とコストがかかりますが、それに見合う価値を提供してくれる場所であると研修を通じて知ることができました。
あなたもぜひ、カンクンで心に残る体験を。透き通る海、豊かな文化、そして温かい人々が、あなたの訪問を待っていますよ。