はじめてルアンパバンに訪れたのは、2007年1月だから、もう4年近く前のこと。 その時の印象は、素朴で、何かあたたかな印象だった。 東北の田舎で過ごした自分にとっては、懐かしさも覚える感覚だったかな。 瞬間、この町を気に入ってしまった。 それ以来、何度この町に降り立っただろう。。 ソウルやバンコクのように決して安く行けるところではなく、 直行便がある訳でもないので、気軽に行ける訳でもない。 それでも、足が向いてしまう町、ルアンパバン。 一人でも温かく迎えてくれるし、仲間と行ってもそれは変わらない。 そんな町に、世界的に評判のアリラホテルとアマンリゾートが出来た。 こちらの旅行記ではそんなホテルをご紹介。。
アリラルアンパバン
モルディブやバリ島では既にお馴染のハイセンスなホテルグループ「ALILA 」のラオス初のリゾート。
入口をはいると、大きな中庭を囲むように、白で統一されたモダンな雰囲気の客室が配置されている。
事前にかつての刑務所だった施設を利用していると聞いていたので、そのギャップにかなり驚く。
「こんな刑務所にいれるなら、無期懲役でも構わないなぁ」
ふと、つぶやくと、
「私もです」とセールスマネージャーがすかさず、同意。
ただ、わたくし、、、小心者なので、そんな罪を犯せません。。。。
到着すると、
担当のスタッフが自己紹介をして、そのまま部屋へと案内され、
自分の部屋でチェックイン。
疲れて到着したら、すぐに部屋で休んでもらいたい、という、これがアリラのスタンダード。
到着が何組か同時になった場合などは、これは特にありがたい。
チェックインの際の記入用紙にも、既に伝えてある事項は印刷済みで、記入も本当に少しで済んでしまう。
普段は、メールアドレスや携帯アドレスは、面倒で記入はしないのだが、
アリラから何かメールが届くのかな?と、少し楽しみにして、メールアドレスまで記入。
既に、心は掴まれていた。
写真:アリラホテルエントランスより町を望む
アリラルアンパバンは町の中心からは自転車でも10分ほどの距離で、
本堂の仏教壁画で有名なマノーロム寺院へは徒歩でもアクセス可能。
ルアンパバンは車の往来も多くはなく、信号機もない。又、平坦で起伏のない町には、自転車がぴったり。
少し走っては立ち止まり、何気ない被写体にカメラを向けたり、
落ち着きそうなカフェでぼんやりと、川の流れを眺めたり。
リゾートでは整備の行き届いた自転車も無料で借りられる。
リゾート内の大きな中庭には、左側にスイミングプール、右側に池が配置。
スイミングプールはルアンパバン初となるヒーティングシステム(温度調整)完備。
夏以外の季節には日が陰ると涼しくなるルアンパバンにはうれしい設備。
また、クリスマスや新年には火を焚いてお祝いするという、スペースが。。
これって、キャンプファイヤーだよな。。。
「日本でもよくやる行事だよ!」と言ってはみたものの、、、
キャンプファイヤーなんて、20年はやってない。
写真左:ホテルエントランスから中庭を望む左右に客室棟、正面はバーやレストラン、スパ棟
写真中央:リラックススペース。読書や昼寝に興じたい
写真右:温度調整のされたスイミングプール
アリラルアンパバンの客室施設はユネスコの世界遺産保護区域内にあるため、
建物自体の改築や屋根の取替えは出来ないそうだ。
眩しいほどにきれいに塗られた白壁と、古びたままの屋根とのコントラストが実に趣があって、それはそれで美しい光景だ。
プールのデイベッドに横たわれば、四方は山々とパームツリーに囲まれていて、外界とはまったく遮断される。
まるで1つの村にいるような錯覚におちいる、これもアリラ流のこだわり。
一方、世界遺産制限区域から外れたところに、新たにスパ棟とレストラン塔が建てられている。
こちらは、伝統的なラオス様式で、高床式の木造スタイルとなっている。
写真左:レストラン棟。テラスにもテーブルがセッティングされている
写真中央:スパ棟は2棟。
写真右:朝食を頂いたテラス席
写真左:ライブラリー。日本語の本はまだなかった
写真中央:オープンキッチン。こちらで有名シェフの料理教室が行われる
写真右:ラウンジ前のオープンテラス
アリラのレストランではラオス一と言われているシェフが腕をふるっている。
NEESWEEK紙にてベストラオス料理長に選ばれているそうだ。
また、このシェフと一緒に市場へ買出しに出かけて食材を買出し、ラオス料理を一緒に作る料理教室が人気らしい。
料理教室用のオープンキッチンまで用意されていた。
夕食をホテルで頂いたが、
事前のチェックが甘く、西洋料理ばかりを選んでしまった。
どれもこれも、洗練された創作料理で、見た目も味も満足だったが、、
う~ん。。。
ラオス料理で有名なシェフだったのかぁ。。。残念。
写真左:まずはビールで乾杯。ろうそくの明かりだけで実に雰囲気がある
写真中央:ルアンパバン名物川海苔のサラダ。ラオス料理はこのぐらい
写真右:ラムチョップステーキ。とっても美味しいが、、ラオス料理を食べればよかった
アリラルアンパバンは全室がスィートタイプ。
天井がとても高く(4mぐらいはあるだろうか)それだけで開放感がある。
バスタブは埋め込み式で入りやすく、お湯の出も豊富。途中で水に変わってしまうようなこともなかった。
又、独立したシャワーブースには、ハンドシャワーとレインシャワーがあり、そこだけでも十分。
アリラオリジナルの石鹸以外のシャンプーやコンディショナー、ボディソープは陶器の容器に入れられ、
歯ぶらしやくしといったアメニティもなく、必要最低限のものが陶器の容器に入れられていた。
容器や使い残しのゴミが出ないような、これも環境に配慮したアリラのこだわり。
多少荷物になっても、普段自分が使っているものをきちんと持参し、このコンセプトにきちんと応えたいものだ。
写真左:天蓋もついたベッド。天井がとにかく高い
写真中央:大きなガラスが貼られた洗面台。コンセントはシルバーの容器で隠されている
写真右:アメニティもスタイリッシュにまとめられている
外観とは一転して、客室内はスタイリッシュにまとめられていて、
I-podドッグ及びI-pod、LCDの大型テレビなどの最新設備が整っている。
レセプションにて聞いたパスワードを入力することで、WIFIも無料で利用可能。
セーフティボックス、湯沸し機なども整い、滞在に不自由することはない。
写真左:扉を開けばプライベートの中庭にオープンになるバスルーム
写真中央:I-PODドッグ。最新のIPODしかつながらず、少々使い勝手は悪い
写真右:大型のテレビ。この時点にてNHKは放映されておらず。。
出来て間もないこともあるだろうが、スタッフの素朴な笑顔や対応がとても印象強く、本当に穏やかに過ごすことが出来た。
スパの施設も充実し、有名シェフに学べる料理教室など、女性には、もちろんお薦め。
又、アマンリゾートが脱日常をコンセプトに、テレビを客室には敢えて置いていないのに対して、IPODやテレビが置かれているアリラルアンパバンは、それでも仕事や世間のニュースが気になる人たちや、一人旅の方にもお薦め出来る。
又、プライベートプール付の客室もあるので、お忍び旅行にも最適。
今までルアンパバンには滞在を優雅に楽しむホテルがなかったが、アリラルアンパバンと後述のアマンタカなら、十分にホテル滞在が旅の目的になるだろう。
写真:プールスィート
続いては世界に名を馳せるアマンリゾーツのラオス初となるリゾート、 アマンタカ へ。
2009年に開業したこちらは、かつての病院を改装して建てられた、フレンチコロニアル様式のリゾート。
造りとしては、アリラルアンパバン同様、広い中庭を囲むようにして、こちらも白亜の建物が並んでいる。
こちらはルアンパバンの中心となる郵便局まで徒歩で5分足らずと、広い敷地を持つリゾートとしては最もアクセスが良いと言ってもよい。さすがに、元病院。
写真:プーシー山頂から望んだアマンリゾートの全景
リゾートに到着すると、こちらも担当のバトラーさんが、すぐに客室へと連れて行ってくれる。
客室内に入った瞬間に、「お帰りなさいませ。ご主人様」
あれ?なんか、メード喫茶みたいだけど、日本語に訳すと、そんな感じ、そんな感じ。
やっぱり、悪い気はしないが、担当のバトラーさんが男性だったから、微妙。。
客室でのチェックインを済ませると、
「何かあれば、わたくしめに、なんなりと、お申し付けください(やっぱり、訳すとこんな感じ?)」と言って、
とりあえずバトラーさんは去って行く。
この感覚が付かず離れずで、これまた心地よい。
アリラルアンパバンのスタッフとはまた異なり、教育、洗練された雰囲気があった。
この後のスタッフの対応はさすがアマン!と感動の連続。
深夜、遊びすぎて外から帰ってくると、エントランスで暖かいおしぼりとルームキーをがすばやく手渡され、
朝食のためにレストランへ行くと、何も言っていないのに、伝票には既に部屋の番号が記入されていた。
翌日のお昼に再度外から帰宅した際は、今度は冷たいおしぼりとルームキーがすぐに手渡される。
チェックイン時に提出したパスポートの顔写真だけでお客様を記憶している?!
アマン初体験の自分に取っては、衝撃的だった。
写真左:中庭中央より、レセプション棟を望む
写真中央:中庭中央より、左とは逆サイドを望む
写真右:スイミングプール。客室24室に対しては余裕の大きさ&椅子の数
アマンスパには4つのスパ室があり、施術を受けた後は、リラックスし、スチームやドライサウナ及びジャグジーと流れるように見事に施設が配置されている。
又、欧米人の宿泊が多いのだろう。ヨガ場やジム施設も整う。
リゾートではメコン川クルーズ用の船も保有しており、アクティビティの設定もある。
写真左:アマンスパの施術室
写真中央:ヨガルーム。ヨガのためだけに作られた贅沢なスペース
写真右:エキセサイズジム。24室のホテルにしてはこれでも充分な数だろう
写真左:ライブラリー
写真中央:テレビルーム。客室にテレビは置かれてないためテレビ観賞はこちらで
写真右:レセプション横のラウンジバー
全室スィートタイプの客室は全部で5カテゴリーに分かれているが、もっとも標準的なスィートでも、159平米の広さを持つ。
テレビは置かれていないがそれ以外の設備に申し分はない。
左右に分かれた2台のシンクは洗面や身だしなみを整えるには便利だし、
独立したシャワーブースがあるので、バスタブにはたっぷりのお湯とバスソルトを貯めて、のんびりと湯船に浸かることもできる。冬の朝晩は非常に冷え込むので、これは特にうれしい。
毎日フルーツと氷が補充され、夜には蚊取り電子マットまでがさりげなくセット。
翌日起きた時に、プライベートテラスに置かれたソファには夜露よけのカバーがされていた。
又、部屋の掃除をするためのスタッフはすべて裏口から出入りをしており、
表に掃除用具のカートや使用済みのリネン類が現れることがない。
こんなところにまで気を使っているのは、アマン以外にはディズニーランドぐらいでは?
写真左:カップルにはうれしい天蓋のついたベッド
写真中央:アメニティも充実している洗面台。同様のものがこの後ろにもう1つ
写真右:リビングスペースも広々。大人でも充分寝れるほどのソファ
写真左:プライベートテラス。客室の裏側に位置しているので完全にプライベート感が保たれる
写真中央:ちょっとした気遣いが感じられる。デスク上
写真右:中庭から陽光が降り注ぐ明るいバスタブ
写真:朝食はプール前のテラスにてアラカルトメニューから選択。絞りたてのフレッシュジュースが提供されるため、オレンジジュースはなく、みかんジュースだった。
アリラルアンパバン同様に、世界遺産の保護制限区域内の建物を利用しているために、屋根などに昔の部分が残ってはいるものの、フレンチコロニアル様式で見事に生まれ変わっており、洗練された雰囲気が漂っている。
顔を合わせたことがないスタッフであっても、名前や客室番号を覚えていてくれるなど、スタッフのレベルが非常に高いという印象が強かった。
客室の設備などのハード的な部分については真似が出来ても、このサービスを真似ることはそうそう出来ないだろう。
相当高価な宿泊費となるのは間違いないが、それに見合うだけのサービスがあると感じた。毎日観光でホテルを空ける方には正直もったいない。滞在するからには、このサービスを充分に体験して欲しい。
旅慣れたご年配の方々、ホテル内での滞在に重点を置かれる方にはもちろん、お薦めしたい。
自分もアマンの滞在にふさわしい大人になりたいものである。
(既に相当な大人ではあるが。。。間に合わないか。。。)
今回はアリラルアンパバンとアマンタカに滞在したが、
ルアンパバンのホテルは総じて、控えめなサービスが多く、それがとても心地が良い。
それは、怠けているという訳では決してなく、
こちらから希望を言えば、色々と真剣に動いてくれる。
慣れていないため、又は単純に知らないために、時間がかかったり、
思うようにならないこともあるが、それはそれでいいこと。
そんな風に寛大な気持ちになれるのもルアンパバンマジックなんだろうなぁ~と、ふと思った。
この町の良さを多くの人たちと共感したい気持ちと、隠しておきたい気持ちが丁度半分半分。
写真:ホテルのスパのベッドで気持ち良さそうにお昼ね中の猫。
日本だったらきっと追い払われるのだろうが、そんなことはないことをわかっているのだろう。微笑ましくてずっと眺めていたかった。