グラナダは世界遺産であるアランブラ宮殿やアルバイシン地区の古都の趣と宮殿のたもとに広がる新市街の2つの側面をもつ都市である。市内を網羅するようにバスが走っており、観光にはバスと徒歩がオススメだ。ホテルの多くはデパート、エル・コルテ・イングレスの周辺に集まっているが、是非ともアランブラ宮殿近くのアランブラパレスに宿泊していただきたい。朝、昼、夜と表情を変える部屋からのグラナダの風景はきっとあなたの心に残ることだろう。
スタッフおすすめ!お得ツアー
大阪発
情熱の国スペイン!王宮、名画、ショッピングにグルメが楽しめる街マドリッド☆料金重視のお手軽フリープラン5日間≪関空発着カタール航空≫
日数:5日間
旅行代金:160,800円~282,800円ツアーはこちら
マドリッドからグラナダまではrenfeで移動。グラナダまでの車窓はのどかなスペインの田園風景をただただ映し出す。正直、これといった見どころはなく、たまに、岩肌をむき出しにした小さな山が現れるくらいである。広大な平原と青い空、なんともぜいたくな退屈だった。
4時間をかけてグラナダに到着。鉄道駅から目の前の坂を少し登ればラ・コンスティトゥシオン大通りに出る。ここから市内へバスが出ていて、料金はどこまで乗っても1.2€で安い。乗車時に料金を支払うので、小銭を用意しておこう。一度10€札で払おうとしたら、もっと小さい札がないか聞かれたことがあった。普通の市バスとアルハンブラバス、2階建てでいかにも暑そうなバスなどが引っ切り無しに行き交う。
チェックインをすまし、アランブラ宮殿へ向かう。王宮の入場まで時間があったので、まずはヘネラリフェ庭園へ。あらかじめ予約していたチケットを受け取り、庭園への道を歩く。いたるところに噴水や泉があり、涼しさを感じさせる。その最たるものが水の階段である。アセキアの中庭を出て左に行くと階段があり、その手すりを水が流れているのだ。この場所を通らずに帰路につくこともできる為、ともすれば見落としてしまう。ヘネラリフェに訪れる際には、是非ともその情景を目にしていただきたい。
グラナダの街を見守るように高台に座すアランブラ宮殿。見どころは非常に多い。そのメインである王宮の入場には時間の制限があり、予約・購入時にあらかじめ設定した30分間しか入場することができない。入場時間に応じて、観光プランを練ると良いだろう。王宮の中のライオンの中庭、二姉妹の間、アラヤネスの中庭。そして、ベラの塔やアルカサバ。これらの場所の素晴らしさは、あえて言うまでもない。しかし、名前も無いような場所の装飾や、ただの回廊など、その全てが見どころと言っても良いほど、イスラム芸術の粋を集めたこの宮殿は訪れる人々の目を奪う。
注意点として、宮殿の敷地内は日陰が少ないため、結構な暑さになる。チケット売場前に売店があるので、水などを買ってから入ると良いだろう。
アランブラ宮殿の西に広がる旧市街。アランブラ宮殿を見渡すことができるサン・ニコラス広場までアランブラバスが出ている。距離的には歩いても行けるが、道が入り組んでいて狭い為、お勧めはしない。私はバスでサン・ニコラス広場まで行き、徒歩で周辺を散策した。ガイドブックなどでは危険な地区となっているが、アルバイシンの魅力はその路地の風景や白い家にあり、是非とも歩いてまわって欲しい。何でもない1つ1つの家がなんとも魅力的である。もちろん夜間や女性1人の散策は避けた方が良いが、エル・サルバドール教会周辺であれば比較的交通量も多く、危険は少ない。
市街からアランブラ宮殿に向かう途中にアランブラパレスはある。入口に到着すると感じの良いポーターの方が出迎えてくれた。ロビーやフロントなどの装飾はきらびやかで、それでいて歴史を感じさせるものだった。古さはあるが、手が行き届いていて清潔な印象を受けた。素晴らしいホテルだが、その中でも、特筆すべきは部屋からの景観だろう。崖側の部屋からはグラナダの街並みを一望でき、昼は白い家々が目の前に広がる。青い空とのコントラストが非常に美しい。そして夜は暗闇のなか、オレンジのライトとそれに照らされた白い壁が黒に映える。大げさではなく、本当に何時間でもみていられるような景色だった。
グラナダ到着日、夕方頃まで宮殿を見学していた為、疲れもあってホテルのバーで夕食をとることにした(レストランでも良かったのだが、ドレスコードにひっかかりそうなのでやめた)。ホテルのバーは外にテラスがあり、そこでも軽食とお酒を楽しむことができる。ここが、非常にオススメである。部屋からと同様、ここからもグラナダの街並みを見渡すことができるのだが、ここでは穏やかな風が吹き、どこからか鐘の音や音楽がかすかに聴こえてくる。なんという贅沢だろうか。
生ハムとステーキサンド、そしてカクテルアルハンブラ(意外とミーハーである)を頼んだが、どれも非常においしかった。ホテルのバーということもあって少し値段は張るが、この場所で食事ができる、雰囲気を堪能できると考えれば安いものだろう。
グラナダに限らないが、スペインを旅行するにあたって私がとったいくつかの防犯対策をご紹介する。良く、お金とパスポートを首から下げて持ち歩くケースがあるが、出し入れが面倒そうなのとカッコ悪いのとでやめた。同様にバッグの底を切られたり、ひったくりに合うという理由でスーパーの買い物袋をすすめている方が多いが、それもカッコ悪いので嫌だった。
私は写真1のような伸びるキーチェーンにケースをつけ、その中にお金とカード、パスポートのコピーを入れて持ち歩いた。出し入れも容易でこれはなかなか良かった。
バッグは写真2のようなエコバッグを利用した。これであれば切られても良いし、カッコ悪くもない。
余談だが、スペインのレストランで同じエコバッグを持った外国の方に出会った。偶然とはあるものである。
左:写真1 伸びるキーチェーン
中:写真2 エコバッグ
今回、スペインを旅するにあたりスリ等に対しては十分すぎるほど警戒をしていた。そのおかげもあってか、スリや盗難などの被害にあうことは無かったが、逆にグラナダではスペインの人々の暖かさに触れることとなった。
実は、グラナダでは一度道に迷ってしまった。周囲には目印となるような建築物もなく、しかたなく、歩いている人に道を聞いた。50代位のおばさんだろうか、英語が通じるわけもなく、私には何を言っているかさっぱりわからない。しかし、おばさんは躊躇することなくスペイン語で説明し続ける。業を煮やしたおばさんはとりあえずついてこい(と言っているように感じた)と大きな通りまで連れて行ってくれたのだ。もう迷うなよ(と言っていたような気がする)とおばさんは行きつけであろうバルに消えていった。私にとって初めての異国での触れ合いだった。
グラナダでは良くバスを利用した。そのバスでも何度かスペインの人々の暖かさを感じた。
グラナダに着いた日、ホテルまでバスで向かった。その際、スーツケースが大きく、苦労してバスにのせようとしていると、入口近くのおじさんがあげるのを手伝ってくれ、さらにはたくさんの荷物を持っていたからだろうか、席を譲ってくれたのだ。遠慮するのも失礼かと座らせてもらったが、スリ等の印象が強かった私にとって、こういった優しさは全くの予想外だった。
他にも隣の人が話しかけてきたこともあった。相手はスペイン語の為まったく理解できず、困惑していると、バスの運転手さんが英語で少し通訳してくれた。どうやら、どこから来たのか聞いているらしいが、それはもうすごい勢いで笑いながら話しかけてくるのである。基本的な日常会話位は勉強しておけば良かったと後悔した。
写真:寄木細工店のおじさん
グラナダからバルセロナへは寝台列車(トレンオテル)を利用した。一度、食堂車という場所で食事をしてみたかったので、グランクラス(2名1室シャワー付き個室)にした。グランクラスは夕食と朝食が付いていて、飲み物も無料である。スペイン料理というわけではなかったが列車でこれだけの食事ができるのかと驚いた。夕食はコースでいくつかのメニューから好きなものを選ぶことができる。お酒を飲めない私には少し割高な印象もあるが、到着日から精力的に観光を行いたかった私にとって、シャワー付きは非常にありがたかった。
ただ、正直言って部屋は狭い。乗車時はベッドが折りたたまれているが、それでも1畳ほどのスペースしかなかった。また、自力ではベッドの形にはできないようで、食事を終えて戻るとベッドになっていた。ともあれ、食事や設備は申し分ないので、余裕があれば是非ともグランクラスを利用していただきたい。