カンボジアにホテルが足りない―。その状況でSTWが選んだのは、「じゃあ、自分たちでホテルをつくろう」という戦略でした。世界遺産アンコールワットなど数多くの寺院があり、近年賑わいを見せる都市、シェムリアップ。その地でさまざまなホテルを探し歩く中で、メインストリートから一歩入った静かな通りに、イギリス人とフィリピン人オーナーが経営するそのホテルはありました。緑にあふれたおしゃれなコテージ風の造りで、調度品の一つひとつにまで細やかなセンスが光っている。普通のホテルとは一線を画す隠れ家的な雰囲気がありました。STWの“他にはない価値”を実現させるにはこのホテルしかないと感じ、半年をかけてオーナーと交渉した末に買い取ることが決定しました。ただ、そのホテルの持つ魅力をそのまま提供するだけでは、日本人観光客が求める快適さの基準を満たすことはできません。カンボジアの裏路地で見つけたこの隠れ家を下地に、どのような価値をプラスできるか。「ザ・コカトゥ」と名付けたこのホテルから、STWのホテル事業はスタートしたのです。
とはいえ、当時のSTWにはホテル事業に関するノウハウはありませんでした。そんな中でも常に私たちが念頭に置いていたのが、「お客様目線」。手探り状態であっても、お客様に快適に過ごしていただけるホテルをつくる気持ちだけは忘れませんでした。そこでまず取り掛かったのが、客室の増築です。ホテルにはレストランやプール、きれいな庭があり全体として良い雰囲気はあったものの、13室あった部屋はどれもかなり築年数が経っていたので、思い切って母屋の隣に客室を18室増やしました。さらに快適性を追求するために日本製の家電や、ケーブルテレビを用意するなど、日本人のお客様に満足していただくために必要なものを、一つひとつ揃えていきました。しかし、海外では不動産の取得や人材採用に独自の商習慣やコミュニケーションのルールがあり、日本人がホテルを始めたいと思っても難航するのが通例。私たちも行政手続きやスタッフの募集に困り果て、毎日、あらゆるルートやコネクションを使って何とか打開策を見出そうとしていました。そんな時に出会ったのが、後に「ザ・コカトゥ」のマネジメントを任せることになるカンボジア人のやる気ある若者でした。彼が多くの業務を請け負ってくれたおかげで、プロジェクトのゴールへの視界が一気に開けたようでした。やはり海外の事業では、信頼のおける若くやる気のあるスタッフの存在は不可欠なのです。紆余曲折があり開業した「ザ・コカトゥ」ですが、その苦労の甲斐あって、現在ではカンボジアを訪れる多くのお客様に好評をいただいており、広くヨーロッパのお客様からウェディングの依頼も舞い込むようになりました。
「ザ・コカトゥ」はリゾートホテルのラグジュアリーと日本的なホスピタリティを兼ね備えたホテルとして、一定の成功を収めています。しかし、カンボジアにはまだまだ伝えたい魅力がある。近代遺跡だけではなく、きれいなビーチが広がる海もあり、おいしいフルーツや野菜も盛りだくさんの国です。私たちはまだ観光地として開拓されていない地域にもホテルを開業し、カンボジアの隠れた魅力をどんどん伝えていこうと考えています。さらに、アジアを中心に、各国への進出も検討中です。たとえば、スリランカ。アーユルヴェーダなどのエステや、著名な建築家ジェフリー・バワが手掛けた建築など、観光名所がたくさんある一方で、ホテルの数はそれほど多くないのが現状です。そんなスリランカで私たちが目を付けたのが、シギリアロック遺跡が見える土地で、この場所は夜にスリランカ象が散歩するコースにもなっているスポットです。窓からシギリアロックが望めるホテルというのは少なく、また、スリランカ象の散歩道にあるホテルなんて、見たことないですよね。だからこそ、私たちが挑戦する価値がある。さらに、もっと多くの国への進出を考えるとともに、たとえば非営利団体の活動に貢献できるホテル事業はないか。現地にもっと違った形で貢献できる運営形態はないかなど、これからSTWのホテル事業は、事業の幅という意味でもますます広がっていきます。
「ザ・コカトゥ」の詳しい情報は
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http://cockatoocambodia.com/jp/
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