【代表取締役社長 鹿島がエリック・カール氏に送った手紙】

拝啓 エリック・カール様

時下、ますますご繁栄のことと、お喜び申しあげます。

このたびは、エス・ティー・ワールドグループで、作品の使用許可をご検討いただきありがとうございます。まずは、代表取締役である私・鹿島義範が、どのような経緯でエリックさんの作品と出会い、そして契約させていただきたいと願うに至ったかを説明したく、ペンをとりました。

私が初めてエリック・カールさんの作品と出会ったのは、娘のノートを通してです。あと数年で思春期を迎える娘と、密なコミュニケーションを図るのに残された時間はあまりないという焦りから、業務の合間をぬって受験勉強をみることにしたのは昨年の12月です。ここ数年は内外の出張が多く、勉強を見るなどということは一度もなかったのですが、年明けの1ヶ月間は出張を入れず、勉強に立ち会う決意をしたのです。
受験勉強に際して、私はそれまで知らなかった娘の一面を見ることができました。その代表が彼女のノートです。初日の1時間目に、きれいな表紙が目に入りました。色鮮やかなイラスト、やさしいタッチにあっという間に魅了されてしまったのです。聞けば以前から作風が好きで、そのアーチストの作品が描かれた文房具を愛用しているとのこと。そのアーチストこそ、エリック・カールさんだったのです。娘が好きな作品に自分も共感したこと、そして娘と自分の感性が似ていることがわかったことは、私の中では大きな収穫といえます。

私は旅行会社エス・ティー・ワールドグループを経営しています。STWは海外旅行が人生における大イベントだった1980年代初頭から、旅行者フレンドリーをポリシーに、だれでも気軽に海外へ行けるような旅行価格を実現してきた会社です。私自身、海が好きだったこともあり、日本人が「楽園」と感じる南の島々、モルディブ、タヒチ、バリなどを紹介してきました。今年で創業20周年を迎えますが、旅を通してお客様の癒しや感動に、少なからず貢献できたという自負があります。また、この10年ほどは、旅先で見た美しい風景や人々と交流することで、その土地の自然や文化に関心を持った、というお便りを多くいただいています。旅行はレジャーですが、環境の大切さや異なる文化に気づき、受容する機会を持つことは、草の根レベルでの国際交流にも貢献しているのだと感じています。旅先が災害などで困っているようなときには、応援キャンペーンを繰り広げるなど、微力ながらもサポート活動も行っています。

先にも触れましたが、STWは今年で創業20周年を迎え、旅行会社として中堅企業の仲間入りを果たしました。経営者として、これからも成長させて行きたいとは思っていますが、創業時からこだわり続けてきた流儀は変えたくないとも感じています。それは旅を通してお客様に感動を体験していただくこと。そのためには、働くスタッフもお客様やパートナーとの人間味あるコミュニケーション能力を磨く必要がある、と信じています。このような抽象的な考えをわかりやすく人に伝えるのは、私には難しく、日頃悩んでいたときに、出会ったのがエリック・カールさんの作品なのです。
社内と社外に向けて私の思いを伝えるアイコンとして、明るい未来を予感させてくれるエリックさんの作品を使用させていただきたいと考えている次第です。

ご検討ください。

敬具

株式会社エス・ティー・ワールド
代表取締役社長
鹿島義範