現地視察で潜ること、おそらく100ダイブ超え。
でも、プライベートでは、せいぜい20ダイブそこそこ。
かつては、エス・ティー・ワールドのダイビングセクションの一員として、
自称『ビジネスダイバー』として、世界の海を潜っていたのに、
ダイビングセクション卒業後は、すっかりダイビングはご無沙汰に。
そんな時に知ったカボプルモの海。
映画『オーシャンズ』を見ているかのような、地球最後の日かのような、
巨大な渦と化し、近づいて来るギンガメのトルネード。
視界を奪われたかのように、目の前に立ち塞がる魚の群れ。
海から上がれば、西部劇に出てきそうな、メキシコのイメージにぴったりの、
見渡す限り、乾いた荒野とサボテンの大地に、静かに佇む小さな集落。
久々に『潜ってみたい』という気持ちが動き、いざ、カボプルモの海へ。
バハカリフォルニア半島の南部、サンホセデルカボという町にある
こじんまりとした国際空港を降り、車でおおよそ2時間の道のり。
乾ききった荒野にサボテンが生え、ところどころにカラフルな建物の
集落が点在する、メキシコのイメージそのものの景色の中をドライブ。
カボプルモ国立公園の入口から、道路は未舗装のオフロードになる。
ここからカボプルモの集落まではおおよそ10km。
時間にしておおよそ30分ほど、生まれたての地球のような原風景の中を、
進んで行ったところに、カボプルモの集落はある。
カボプルモは人口おおよそ100-150名程度の小さな集落。
メインロードは端から端までゆっくり歩いてもおおよそ10分程度。
ここに住んでいる人たちがみんな顔見知りだからなのか、
のんびりとしていて平和な時間が流れている。
木で出来た案内看板に、鹿かなにか角のある動物の頭骸骨。
ここでもメキシコの荒野のイメージとぴったりの光景が広がる。
さすが国立公園内の集落、と思わせるのがゴミの分別。
他のメキシコの街では有り得ない光景。
カボプルモの集落は犬が多い。
大型のハスキーすら放し飼いになっているが、
みんなおとなしくて人懐っこい。
小さな集落で道に迷うことがないからなのか、後ろから付いてきて、
のんびりとした散策に、いつまでも付き合ってくれる。
日中は暑いからか、日陰を探してのんびりと過ごしている。
時々、ビーチへ駆け出して、波打ち際で水遊びをする。
何にもない小さな集落での過ごし方を熟知しているようだ。
小型犬もいて、砂の道の上を歩くと聞こえてくる
『サッ,サッ,サッ・・・・』という音と、
小さな身体で一生懸命に歩いている姿がとても可愛らしい。
宿泊はカボプルモスポーツセンターバンガロー。
ココに限らず、カボプルモの宿泊施設は基本的に、
メキシコの伝統家屋を模したバンガロータイプの客室。
ホテルと言うにはプールやスパ,レストラン,フロントさえもく、
管理人に鍵をもらって入室する感じは、
郊外のコテージや貸別荘に泊まりに来た感覚。
ダイビングの器材を乾かすのにうってつけの広いバルコニー。
そもそもローカルには、このバルコニーにベッドを置いて
寝ている家庭もあり、メキシコの国内でこの平和過ぎる環境に驚く。
乾燥した大地は、日没とともに涼しくなるので、
エアコンが無く、ファンと扇風機のみでも意外と問題無い。
客室やバスルームは管理人が日々清掃をしていてキレイ。
想像していたよりもずっと快適に過ごすことが出来る。
カボプルモスポーツセンターバンガローの裏手にある小さな商店。
カボプルモの集落には、2-3軒程度だが商店もある。
ローカルの生活用品が多く、ツーリストにとっては、
何でも手に入るコンビニエンスストアというよりは、
旅のネタとして入ってみると面白いという感覚のお店。
『メキシコの食文化を破壊した』とも言われるほど、
メキシコ人に大人気で国民食と化している『MARUCHAN』の
カップ麺は、こんな秘境の地でも手に入れることが出来る。
tripadvisorで調べてみると、この旅に出た2016年6月現在、
カボプルモには少なくとも4軒のレストランがある。らしい。
カボプルモの集落のメインストリート沿いにあるエルカバジェロは、
朝から営業しているので、朝食や夕食を食べることが出来る。
1ℓはあるだろうか、両手で持たなければならないほど
大きなジャーで出てくるドリンクと定番のメキシコ料理はどれも美味しい。
カウンターでは、ローカルもツーリストも関係なく、
スポーツ番組に興じながらお酒を楽しんでいる。
2016年6月現在、tripadvisorに登録されているカボプルモの
4軒のレストランのうち、堂々の1位に輝いているラパラダ。
お昼から営業するビーチ沿いのレストランは、ランチ時には、
午前中のダイビングを終えたダイバーや、マリンアクティビティーに
参加したり、ビーチに遊びに来たゲストで賑わっている。
料理が出てくるまでの間は、ビーチをのんびりと眺めたり、
テーブルフットボールゲームを楽しんだりすることが出来る。
ダイビングは、カボプルモダイバーズというダイビングサービスを利用。
ダイビングをはじめ、マリンアクティビティーが発着するビーチの
一角にあり、宿泊施設のカボプルモスポーツセンターバンガローの
敷地を出てすぐのところにある。
お店の壁に、強面のサメが描かれていることからも分かるように、
カボプルモというエリアのダイビングは、特に、サメを見せることに
力を入れているようだ。
ダイビングに力を入れているだけあって、ダイビングのボートや
レンタル器材は、新しいものが用意されている。
目の前のビーチへは歩いて移動し、
そこからボートに乗ってダイビングへ出掛ける。
カボプルモのダイビングは、集落のある湾内を中心に
おおよそ10カ所のダイビングのポイントを潜る。
ボートが発着するビーチから1番遠いアシカのコロニーでも、
ボートでおおよそ20分くらいの距離にあり、
湾はすぐに深くなっているので、ビーチから近いポイントでも、
充分な深度がある。
ボートは潜るポイントにより、1ダイブごと、もしくは、
2ダイブをしてからビーチへ戻って来る。
国立公園内にあって、漁が禁止されていることもあり、
海の中の魚影は濃い。
カボプルモは7月末から11月にかけてがダイビングのシーズン。
特に8月,9月は目の前の視界を奪われるほどの
巨大なギンガメアジの渦との遭遇率が高くなる。
ダイビングポイントのコンディションは穏やかで、
初心者でも楽しむことが出来る。
国立公園内にあって、漁が禁止されているため魚影が濃く、
ギンガメアジの群れが巨大な渦となるのもこのためである。
特にサメを見せることに力を入れているエリアで、
サメは高確率で見ることが出来る。
集落のある湾の端にはアシカのコロニーがあり、
アシカも高確率で見ることが出来る。
どこまでも続く紺碧の海と、地球が誕生してから、
おそらくは一切の手が付けられていないであろう
原始的な風景の中を、ボートにのってダイビングのポイントへ向かう。
海面から少しだけ顔を出した岩が、ポイントの目印となっているエルイスロテ。
岩に沿って潜行し、岩の根に沿って進んでいく。
大きな渦となった群れやサメ,ウツボなどとの遭遇の可能性アリ。
カボプルモの集落のある湾から少し出たところにあるアシカのコロニー。
個体の数は多くはないものの、コロニーのある岩の付近で潜行すると、
ダイバーを興味深めに眺めながら泳いでくれる。
沈船のポイント、というよりは、朽ち果てて残骸が散らばっているポイントもある。